個人でリスキリングをするときには、政府からの補助金を活用し、少ない負担で講座を受けることができます。経済産業省が母体となった「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」では受講費の負担軽減、厚生労働省からは「教育訓練給付制度」を通じた受講料の一部支援が行われています。
この記事では、個人でリスキリングをするときに使える補助金について、まとめてご紹介します。
リスキリングとは?
リスキリングとは、仕事において必要とされる新たなスキルを習得し、身につけたスキルを活かして新しい分野で働くことです。
急速なデジタル化やAIの発達により、私たちのライフスタイルは変化し、企業のビジネススタイルも変化しています。日本では、その急速な変化に対応できる専門的なITスキルをもった人材が不足しており、少子高齢化によって今後さらにIT人材の不足が進むと予想されています。
リスキリングが注目されている背景
リスキリングが注目されている背景には、企業がIT人材を求めていることのほかに、日本政府も学び直しを支援していることがあげられます。世界的な潮流もデジタル化によって衰退していく分野から成長産業へと、労働人口をシフトすることが推進されています。
日本企業の発展のためにも、政府は人への投資として「5年間で1兆円」を個人のリスキリングに支援することを発表。個人がリスキリングをして新たなスキルを身につけることは、企業にとっても個人にとっても大きなメリットがあると言えるでしょう。
個人がリスキリングをするメリットについては、こちらの記事で解説!
個人のリスキリングで使える補助金・助成金の一覧
個人のリスキリングで使える政府からの補助金や助成金には次のようなものがあります。
- リスキリングを通じたキャリアアップ支援自業(経済産業省)
- 教育訓練給付制度(厚生労働省)
各都道府県ごとの補助金・助成金制度には、
- DXリスキリング助成金(東京都)
- スキルアップ支援金(大阪府)
- 高等職業訓練促進給付金(ひとり親支援・各都道府県の自治体)
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業|経済産業省
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業とは、キャリア相談からリスキリング、転職までを一体的に支援している事業です。
スキル習得のための講座を提供する事業者と、講座を受講したい人をつなげて支援しています。
- 支援内容
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補助事業者経由で受講費用の負担が軽減されます。
①リスキリング講座の受講を修了したとき
講座受講費用(税別)の1/2相当額(上限40万円)が負担軽減
②リスキリングの講座受講後、実際に転職しそのあと1年間継続して転職先に就業したとき、①に追加して受講費用(税別)の1/5相当額(上限16万円)が負担軽減されます。
- 対象者
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サービス登録時またキャリア相談での初回面談の時点で在職者であり、雇用主の変更をともなう転職を希望している人が対象です。
教育訓練給付制度|厚生労働省
教育訓練給付制度とは、働く人の主体的な学びやキャリアプランを支援して、安定した雇用と就職の促進を目的とした制度です。
対象の講座は3種類のレベルに分けられていて、約16,000講座あります。オンライン受講または夜間・土日に受講できる講座もあるため、働きながら受講することも可能です。
- 給付条件
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教育訓練給付を受けるには次の条件があります。
①45歳未満の離職者の方
②受講開始日時点で在職中または離職してから1年以内(アルバイト・派遣労働者の方も含む)
③今までに教育訓練給付を受けたことがない、または前回の受講後雇用保険の加入期間が3年以上かつ前回の支給日から3年以上経過している。
- 支援内容
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厚生労働大臣の指定を受けた講座の受講を修了した際、受講料の一部が支給されます。給付率は、受講する講座のレベルに応じて変わります。
▶︎給付に関するくわしい情報はハローワークで支給要件紹介の手続きをすると調べられます。
① 専門実践教育訓練給付金
受講費用の最大80%が受講者に支給されます。(年間上限64万円)
講座の種類 | 講座内容・取得できる資格 |
業務独占資格などの取得を目指す講座 | 介護福祉士、看護師、保育士、調理師など |
デジタル関係の講座 | ・第四次産業革命スキル習得講座 ・ITTSレベル3以上のIT関係資格取得講座 |
大学院・大学・短期大学・高等専門学校の課程 | ・専門職大学院の課程(MBA、教職大学院など) ・職業実践力育成プログラム |
専門学校の課程 | ・職業実践専門課程 ・キャリア形成促進プログラム |
- 中長期的なキャリア形成を目的とした教育訓練が対象です
- 受講費用の50%(年間上限40万円)が受講中の6ヶ月ごとに支給されます。
- 資格等を取得、かつ修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用されると、受講費用の20%(年間上限16万円)が追加支給されます。
- 失業状態にある方が初めて専門実践教育訓練(通信制・夜間以外)を受講すると、受講開始時点で45歳未満、離職から1年以内、失業中などの条件を満たせば、教育訓練支援給付金が支給されます。
② 特定一般教育訓練給付金
受講費用の40%が受講者に支給されます。(上限20万円)
講座の種類 | 講座内容・取得できる資格 |
業務独占資格などの取得を目指す講座 | 介護支援専門員実務研修、大型自動車第一種免許など |
デジタル関係の講座 | ITTSレベル2の情報通信資格の取得を目指す講座 |
- 速やかな再就職または早期のキャリア形成が目的の教育訓練です。
③ 一般教育訓練給付金
受講費用の20%が受講者に支給されます。(上限10万円)
講座の種類 | 講座内容・取得できる資格 |
資格の取得を目指す講座 | 輸送・機械運転関係、社会保険労務士、税理士、 CAD利用技術者試験など |
大学院などの課程 | 修士、博士学位などの取得を目指す課程 |
高等職業訓練促進給付金
高等職業訓練促進給付金は、ひとり親の方の資格取得を支援しています。職業訓練期間の生活費として、月額10万円(住民税課税世帯は月額70,500円)が支給されます。
対象となる人は、
- ひとり親の方
- 児童扶養手当を受給、または同等の所得水準(1年間の収入が365万円未満)の方
- 養成機関での6ヶ月以上のカリキュラムを訓練し、資格の取得等が見込まれる方
対象となる資格は、
教育訓練給付の対象講座を受講し、6ヶ月以上の訓練期間が必要な資格(一部を除く)
▶︎厚生労働省指定の対象講座はこちらから確認できます。
補助金・給付金対象のリスキリングにおすすめの講座一覧表
最大64万円の給付金が受けられる「専門実践教育訓練」や「キャリアアップ支援事業」に指定されているおすすめの講座を表にまとめました。
おすすめポイント | 学習内容 | リスキリングコース料金 | |
---|---|---|---|
デイトラ | ・講座受講前に補助が受けられ受講料の負担が軽減できる ・仕事で使える実践的なカリキュラム ・IT業界未経験の方に特化した手厚い転職サポート | Web制作/ Webデザイン/ アプリ開発/ Webマーケティング | ・Web制作コース ¥364,833→¥199,000 ・Webデザイン/Webアプリ開発コース ・Webマーケティングコース ¥346,500→¥189,000 |
SAMURAI ENGINEER | ・転職保証コースでは全額返金保証付き ・オーダーメイドカリキュラムとマンツーマンのレッスン ・プロのコンサルタントにキャリアの悩みなどを気軽に相談できる | Webエンジニア/ クラウドエンジニア/ AIデータサイエンス/ など | ・Web エンジニア転職コース16週 ・クラウドエンジニア転職コース24週 ・AIデータサイエンスコース24週 |
ポテパンキャンプ | ・受講期間中に10個以上のアプリ開発ができる実践的なカリキュラム ・業界トップクラスの求人数 ・無制限で相談できる学習・転職サポート | HTML/CSS/ Javascript/ Ruby on Railsなど(Railsキャリアコースにすべて含まれる) | Railsキャリアコース¥ |
キカガク | ・1,500以上の講座と今後追加される講座が永久的に受けられる ・転職業界最大手dodaの転職支援 ・現役講師による万全のサポート体制 | AI/ データサイエンス | ・DXを推進するAI・データサイエンス人材育成コース(6ヶ月)¥ ・AIデータサイエンス実践長期コース(8ヶ月) ¥1056,000→¥416,000 |
TECH CAMP | ・即戦力のITエンジニアになるための技術が身につく ・ライフスタイルに合わせて短期集中と夜間休日スタイルが選べる ・学習後はマンツーマンのキャリア支援が受けられる | HTML&CSS/ Javascript/ AWS/ Ruby on Railsなど(各コースにすべて含まれる) | ・短期集中スタイルオンラインプラン ¥ ・夜間・休日スタイル ¥877,800→¥237,800 |
RUNTEQ(ランテック) | ・未経験から現場レベルのエンジニアに育成 ・講師が現場目線で手厚くフォロー ・モチベーションを継続できるコミュニティ&イベント | HTML&CSS/ Javascript/ / Ruby on Rails/ SQLなど (Webエンジニア転職コースにすべて含まれる) | Webエンジニア転職コースRuby on Rails専攻¥ |
リスキリング講座についてはこちらの記事でくわしく紹介しています
お役立ちサイト
マナパス
社会人の大学等での学び直しを支援する、文部科学省から委託されているポータルサイトです。全国各地域の大学・短大・高専の講座がオンラインまたは通学によって受けられます。
▶︎マナパス
マナビDX
マナビDXは、経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構が運営しているデジタル人材を育成するためのプラットホームです。
豊富な講座の中から目的に合った講座が選べます。デジタルの基礎から専門性の高い分野まで幅広い講座が掲載されています。掲載されている講座の中には受講費用の補助が受けられる講座もあります。
▶︎マナビDX
補助金・給付金が受けられる講座はこちらの記事で紹介しています。