「女性エンジニアは少ない」これからエンジニアへの転職を考えている女性であれば、このような情報を耳にしたことがあるかもしれません。
「エンジニアは女性が働きにくい環境?」「ブラックな会社が多いの?」と理由が気になっている人もいるでしょう。
実際、IT業界は男性が多い印象ですが、近年、女性エンジニアも増加傾向にあります。
この記事では、女性エンジニアの現状や増加している理由、働くメリット・デメリットや未経験からのキャリア形成について解説します。
これからエンジニアとして働きたいと考えている方はぜひ最後までお読みください。
女性エンジニアは3割ほど
実際に日本で女性エンジニアはどのぐらい活躍しているのでしょうか。
総合人材サービス会社のヒューマンリソシア社の調査(世界47か国対象)によると、2022年時点で日本のIT業界における女性の割合は全体で約3割、47か国中30位と他の国と比較しても低い数値です。さらに、IT分野を学ぶ女性の割合は最下位という結果も出ており、日本のIT業界では女性の進出が遅れているということが明らかになっています。
しかし、近年は少しずつ状況が変化しています。リモートワークや時短・時差勤務の導入、充実した育児支援制度など、女性にとって働きやすい環境が整備されるようになりました。
また女性エンジニアの成功事例をメディアが取り上げる機会も増え、ロールモデルとなる存在が社会に認知されて若い世代の女性に与える影響も大きくなっています。
IT業界が成長していることも追い風となり、女性エンジニアの増加は今後さらに加速すると予想されます。
これらのことから、女性がエンジニアとして活躍しやすい環境は、着実に整備されつつあると言えるでしょう。
女性エンジニアが少ない理由

女性エンジニアが少ない理由として、大きく2つの点が挙げられます。
- 女性には向いていない職業というイメージ
- 長時間労働になりやすい
まず、IT業界に対する社会的なイメージです。長年、男性社会と捉えられていたことや、女性は理数系が苦手という偏見が根強く残っています。
次に、長時間労働になりやすく仕事と家庭の両立が難しいという点です。
順番にくわしく解説します。
女性には向いていない職業というイメージ
IT業界は男性社会というイメージが強く、女性にとって働きにくく不利な環境だと考えられてきました。これは 幼少期からの教育や社会通念の影響により、「女性は理数系に弱く、プログラミングのような論理的な作業に向いていない」というイメージが定着してきたことによるものです。
さらにメディアが描くITエンジニア像は、深夜まで残業し不眠不休で仕事に取り組む、孤独で不健康な男性というイメージが頻繁に描かれがちです。
このイメージは、女性のキャリア選択に大きな影響を与え、エンジニアを目指すことをためらわせる原因の一つとなっています。しかし、これはあくまでも固定観念であり、実際には女性ならではの視点や発想力が、IT業界で高く評価されるケースも増えています。
長時間労働になりやすい
IT業界、特にエンジニア職はプロジェクトの納期に追われることが多く、長時間労働は避けられません。 なぜなら、常に新しい技術が登場し、市場のニーズも変化し続けるため、開発スケジュールがタイトになりがちだからです。
さらに、人材不足も深刻な問題となっています。現在働いているエンジニアには多くの負担がかかっていることが多いのが現状です。職種によっては夜間作業や休日出勤なども発生し、特に家族を持つ女性にとって、この労働環境は仕事と家事・育児との両立を困難にする要因となっているのも事実です。

しかし、近年は働き方改革の推進や、リモートワークの普及などにより、少しずつ改善されつつあります。
女性エンジニアは増えている


近年、女性エンジニアの数は増加傾向にあります。 その背景には、いくつかの理由が考えられます。
- 働き方改革による働き方の多様化
- 未経験からエンジニアに挑戦しやすい環境
- 企業の意識の変化
働き方改革による働き方の多様化
まず一つ目は、働き方改革による柔軟な働き方の環境整備です。
以前は、長時間労働や深夜残業など、女性にとって働きにくい環境がIT業界にはありました。しかし、近年はリモートワークの普及や、時短勤務制度の導入など、柔軟な働き方ができる企業が増えています。
育児休暇や介護休暇などの充実も進み、仕事と家庭を両立しやすくなったことで女性がエンジニアとして働きやすくなりました。
未経験からエンジニアに挑戦しやすい環境
次に、未経験からでもエンジニアになれる環境が増えたことです。オンラインプログラミングスクールや、無料学習サイトの普及により、初心者から自分のペースでプログラミングが学べます。
年齢や経験に関わらず学習意欲さえあれば、エンジニアへの転身が可能となりました。
企業の意識の変化
最後に、企業側の意識の変化です。IT業界は人材不足が深刻で、企業は優秀な人材を求めています。
そのため、採用枠を広げ、女性や幅広い年齢層からの多様な人材を採用する企業が増えてきました。また、 企業の活性化を目指して、女性エンジニアを採用することで新しい視点や発想を取り入れ、より良い製品やサービスを生み出すことができると考える企業が増えているのです。
これらの理由により、最近では女性エンジニアは増えています。
女性がエンジニアとして働くメリット
女性がエンジニアとして働くメリットは、柔軟な働き方、高収入、キャリアの柔軟性です。
- リモートワークや時短勤務など柔軟な働き方が可能
- 高年収が目指せる
- 転職や復職も比較的容易
です。これらのメリットは、女性がキャリアを積む上で大きな強みとなるでしょう。
それぞれのメリットについて具体的に解説します。
リモートワークや時短勤務などの働き方が選べる
エンジニアの仕事は、パソコン一つあれば場所や時間を選ばずに作業ができることも多いため、多くの企業がリモートワークや時短勤務などの柔軟な働き方を導入しています。
この働き方により、家事や育児と仕事の両立ができるようになり、ワークライフバランスを実現しやすくなります。 特に子育て中の女性にとっては大きなメリットと言えるでしょう。
また40代、50代と年齢を重ねると、親の介護が必要になるケースも増えてきます。柔軟な働き方ができるエンジニアは、介護と仕事の両立もしやすくなります。



個々の事情に合わせた多様なライフステージに対応できるのがエンジニアとして働くメリットの一つです。
高年収が目指せる
エンジニアは、高い専門性とスキルが求められるため、それに応じた高収入が期待できるという点も魅力です。 未経験の場合は年収はそれほど高くはありませんが、着実にスキルを積み重ね、経験を積んでいくことで、将来的に高い年収を得ることが可能です。
また、高いスキルを持つエンジニアは、フリーランスとして独立することも可能です。自分のペースで仕事を行いながら、さらに高い収入を得ることもできます。
高収入を得るためには継続的な学習とスキルアップが不可欠ですが、その努力に見合うだけのリターンが期待できるのもエンジニアの魅力の一つといえるでしょう。エンジニアの仕事は、経済的な自立や、将来の安定が確保しやすいという点においてもメリットがあります。
技術職なので転職・復職がしやすい
エンジニアは、技術職という特性があるため、転職や復職が比較的容易な職種です。 他の職種と比較して、年齢やブランクがキャリアに与える影響が少ないと言えます。
結婚や出産、家族の転勤などを機に一度キャリアを中断した場合でも、一定期間のスキルアップや再教育を経れば、再びエンジニアとして活躍できる可能性が高くなっています。
最新の技術動向を常に把握しスキルをアップデートしていく努力は必要ですが、多くの企業が経験者を求めているため、転職活動は比較的スムーズに進められるケースが多いです。
こうした柔軟な働き方が可能な点も、エンジニアが増加している理由の一つでもあり、ライフステージの変化に柔軟に対応できるキャリアパスとして注目されています。
女性がエンジニアとして働くデメリット
一方で、女性がエンジニアとして働くデメリットも存在します。
まずは、長時間労働と男性中心の職場環境が挙げられます。 多くのプロジェクトでは納期が厳しく、残業や休日出勤は避けられないケースもあり、ワークライフバランスの維持が難しい会社も現実として存在します。
また、エンジニア職は男性比率が高く職場やチーム内に女性が少ない環境では、周囲とのコミュニケーションやキャリア形成において、女性特有の課題に直面する可能性があります。 女性がエンジニアとして働くデメリットを具体的に紹介します。
残業や休日出勤で長時間労働になりやすい
プロジェクトの納期に追われるなど、どうしても残業や休日出勤が必要となるケースが多く、長時間労働は避けがたい一面もあります。
たとえば、システム障害の発生や急な仕様変更など、予期せぬ事態が発生した場合迅速な対応が求められ、時間外労働は不可欠になることがあります。これは、ワークライフバランスを維持する上で課題となる可能性があります。
企業側も長時間労働の改善に努めてはいますが、技術革新のスピードや市場競争の激しさから、完全な解消は難しいのが実情です。



エンジニア自身もタスク管理能力を高めたり、効率的な作業方法を習得したりすることで、長時間労働を少しでも軽減するための工夫が不可欠です。
職場・チームに男性が多い
エンジニアの職場環境は、多くの企業で男性比率が高いという特徴があります。これは、長年、IT業界が男性社会として認識されてきた歴史的な背景と深く関わっています。
そのため女性エンジニアは男性中心の職場環境の中で働くことが多く、時にはコミュニケーションの難しさや、働き方に対する認識のずれを感じることがあります。
しかし近年では、多様性を受け入れる企業が増えてきており、女性エンジニアが働きやすい環境づくりに力を入れる企業も出てきています。 意識改革も進み、性別による偏見や差別は減少しつつあります。



私自身、20年以上男性中心の職場で働いてきましたが、近年は性別による偏見は少なく、企業文化やチームの雰囲気の方が働きやすさに大きく影響していると感じます。
未経験からエンジニアになるには?


未経験からエンジニアへの道は、まずプログラミングの基礎学習から始まります。多くの無料学習コンテンツを活用して効率的に基礎を固めましょう。
次に、学びたいプログラミング言語を選び、実践的なスキルを習得します。
学習成果はポートフォリオとしてまとめることが重要です。自作アプリやWebサイトなどを掲載し、自身のスキルを効果的にアピールしましょう。
完成したポートフォリオと習得したスキルを武器に、転職活動を行いましょう。年齢や経験に関わらず、熱意と努力でエンジニアへの夢は実現可能です。
基礎を学ぶ
エンジニアへの第一歩はプログラミングの基礎学習です。 無料のオンライン講座やYouTube動画、書籍などで手軽に言語の種類やシステム用語などITの基礎知識を学ぶことができます。
近年は初心者向けの分かりやすい教材から、高度な専門知識を学ぶためのコースまで、質の高い無料コンテンツが数多く提供されています。
HTMLやCSSや、JavaScriptなど様々な言語を試しに受講して、自分に合った言語を見つけるのも良い方法です。
これらを効率的に利用し、基礎を学びスキルアップを目指しましょう。
言語を決めてプログラミング学習
プログラミングの基礎を学んだら、次は特定のプログラミング言語を習得する必要があります。 プログラミングと言っても様々な言語が存在し、それぞれ得意分野や需要が異なります。
そのため、将来のキャリアや興味・適性と照らし合わせ、需要が高く自分の興味や適性にも合う言語を選択することが重要です。
学習方法は、大きく分けて独学で学ぶ方法と、スクールへ通う方法があります。



独学は費用を抑えられますが、モチベーション維持が重要です。一方で、スクールは費用はかかりますが、体系的な学習と講師からのフィードバックが期待できます。
どちらもメリット、デメリットがありますので、学習スタイルや予算、学習期間などを考慮して、最適な学習方法を選びましょう。
ポートフォリオ作成をして転職活動をする
学習の成果はポートフォリオにまとめ、転職活動に活かしましょう。
ポートフォリオは、あなたがこれまで学んできたスキルや経験を具体的に示す重要なツールです。ポートフォリオは面接官との会話の糸口にもなります。
面接ではポートフォリオに掲載されている作品について詳しく聞かれる可能性が高いため、事前にしっかりと説明できるように準備しておきましょう。
ポートフォリオが完成したら、求人情報サイトなどを活用し積極的に転職活動を行います。
40代からの転職は、年齢を理由に断られるケースもあるかもしれませんが、あなたのスキルと経験、そして熱意を効果的にアピールすることで、必ず道は開けます。 自信を持って、積極的に行動することが重要です。
プログラミング学習におすすめのスクール「デイトラ」について詳しく解説しています


まとめ
IT業界は、「男性社会」というイメージや実際に「長時間労働になりやすい」といった理由から、女性が少ない傾向にあります。
しかしながら、近年では、女性エンジニアの働きやすい環境を整えている企業も多く、エンジニアとして働く女性は増加しています。
女性がエンジニアとして働くメリットは、
- 柔軟な働き方ができる
- 高収入が目指せる
- キャリアの柔軟性
があげられます。
長時間労働や職場に男性が多いといったデメリットもありますが、働き方改革や女性エンジニアの増加によって、環境はさらに改善されていくことが予想されます。
未経験からでも挑戦しやすくなってきている今、エンジニアに興味がある人はぜひ挑戦してみてくださいね!
未経験からエンジニアになるための具体的なステップはこちらの記事で解説!

