「人生100年時代」と言われる今、40代はちょうど折り返し地点に差し掛かる年齢です。40代の女性は育児がひと段落する、介護がはじまる、といった環境の変化のなか、自身のキャリアについて考える人も多いのではないでしょうか?
40代の女性の転職では、収入面と同じぐらい「柔軟な働き方」や「続けたいと思える仕事であること」が重視されます。ここ数年、働き方改革によりそれぞれの環境に応じた働き方が選択しやすくなりつつあります。副業・兼業、フリーランス、在宅ワーク…などが定着してきている現在の、40代女性の転職事情についてお伝えします。
40代女性の転職事情
40代の女性は、人によってライフステージが変化しやすい年齢であると言えます。なぜなら、40代は子育てが一段落して仕事に時間が費やせるようになる、あるいは、介護が始まり今まで通りに働けず時短になる、といった環境の変化が訪れやすい時期だからです。
子育ての時期はある程度予測がつきますが、親の介護は突然はじまることもあります。そして、ゴールに関しても同様です。

40代〜50代の女性は、それぞれの環境に応じて転職・働き方を考える人が多いようです。
40代女性の転職事情についてデータからみてみよう
40代の転職は難しいという意見をよく耳にしますが、実際のところはどうなのでしょうか?令和4年厚生労働省のデータをもとに転職事情について解説します。
次の表は、令和4年に転職した人の年齢別の割合です。


このデータからは、35〜54歳で転職した人の割合は、ほぼ横ばいとなっていることがわかります。20〜34歳の転職した人と比較すると平均して5%ほど少なくなっていますが、35歳〜55歳まで大きな違いはありません。



40代以降の転職では20代〜30代前半の人の転職に比べると、そもそもの求人数が少なくなります。
転職活動に時間がかかることもありますが、少子高齢化で人手不足の会社も多いため、40歳以降の転職であっても年齢によるデメリットは少なくなってきています。
40代女性のキャリアアップ転職は困難?
40代の女性がキャリアアップ転職をするには、企業が求める経験やスキルが必要です。未経験分野の職種に転職する場合、年収アップは難しいかもしれません。



キャリアアップ転職をするには、今までの経験やスキルが活かせて、尚且つこれからも需要のある仕事を探す必要があります。
こちらのグラフは、転職後の賃金の変動状況を表しています。年齢別に「増加した」「変わりなし」「減少した」割合を比較しています。


40歳までの転職では、40〜50%の人が転職後の収入が増加しています。一方、40歳以降では、賃金が増加した人が30〜40%となっていますが、それと同じぐらい減少した人もいることがわかります。
40代の女性の退職理由は「労働時間・休日などの労働条件が悪いこと」や、「仕事内容に興味がないこと」であることから、転職後の収入が減った原因は、
- 育児や介護に対応しやすい時短での仕事を選ぶ
- 未経験職種への挑戦による収入減
といった事情が考えられます。
女性の40歳〜の転職では、それぞれのライフステージに応じた柔軟な働き方ができることや強みが活かせるやりがいのある仕事であることを重視する人が多く、働き方も多様化しています。
在宅ワークは40代のライフステージに合った働き方
40代〜の仕事選びでは、「仕事 × 育児・介護」が両立しやすい柔軟な働き方を求める人が増えています。
柔軟な働き方の一つとして、コロナ禍以降「在宅ワーク」が注目されています。
在宅ワークでは、
- すきま時間を使った働き方が可能
- 通勤時間の短縮
- 家庭での突発的なアクシデントにも対応しやすい
といったメリットがあります。在宅ワーク(テレワーク)を導入している企業も増え、政府も働き方の一つとして推進しています。
在宅ワークを始めるには、
- リモートワーク(テレワーク)を導入している会社で働く
- クラウドソーシングサイトなどから個人で仕事を受託する
などの方法があります。
仕事内容は、主にインターネットを使った業務で、ExcelやWord、PowerPointを使った書類・資料作成やデータ入力などの事務系の仕事、プログラミング、Webライティング、Webデザイン、動画編集のようなクリエイティブな仕事があります。
40代女性の転職を成功させるポイント


ここからは、40代〜の女性が転職を成功させるためのポイントについて解説します。
転職する目的を明確に
40代からの転職、キャリアプランを考えるときには、5年後や10年後の将来を見据え、目的をもって行動する人が多いのではないでしょうか。
転職をする目的は収入アップ?やりがい?それとも、長く続けられるか、拡張性があるかどうか、といった将来性でしょうか?
キャリアプランを考えるときは、転職する目的や大切にしたいことを明確にしておきましょう。具体的なキャリアプランを描くことは、履歴書や面接対策にもつながり、軸のある転職活動は成功しやすくなります。
これまでのキャリアが活かせる仕事を選ぶ
40代以降の人材雇用に積極的な企業は、即戦力として働ける人を探しています。
これまでのスキルや経験をアピールできるといいでしょう。以前の仕事とちがう業種であったとしても、これまでの豊富な経験の中から必要とされるスキルがあることも多いです。



チームのリーダーとして働いた経験や、部下の育成に携わった経験はマネジメントスキル、営業職や販売職で培ったコミュニケーションスキルも魅力的なスキルです。
これまでの経験を棚卸し、自信を持ってアピールしてみましょう。
転職エージェントに相談する
転職エージェントを活用した転職活動もおすすめです。
プロに相談することで、過去の経験から転職に活かせるスキルや、気づかなかった強みが見つかったり、転職で実現したいことが明確になったりします。



実際にアドバイザーの方と面談することで、これまでのキャリアが棚卸できて、仕事に求めていることがわかりました。
転職エージェントのメリットは、転職相談や自分にあった仕事の紹介だけではありません。アドバイザーが企業との間に立って、わからないことを聞いてくれたり、スケジュール調整、交渉を代行してくれます。
専業主婦期間などのブランクがある方は、履歴書・職務経歴書の添削サポートもおすすめです。転職活動で困ったことは何でも相談できるため、安心して進めることができるでしょう。


新しい資格やスキルを取得する
新しい分野に挑戦してみたい場合は、その仕事に必要なスキルを身につけたり資格を取得したりするのもいいでしょう。
本当に自分に向いているのか、適正判断ができるというメリットもあります。デメリットとしては、スキルの習得には時間とコストがかかることです。
また、新しく習得したスキルを使う仕事に転職する場合は、一時的に収入が減少する可能性も少なくありません。長期でのキャリアプランを考えて、将来的に収入アップが期待できる分野を選ぶことも大切です。
▼市場価値が上がるスキルについてはこちらで解説しています。40代女性が今学びたいスキルを紹介!


さまざまな働き方を知る
政府による「働き方改革」により、副業・兼業の推進やフリーランスを保護する法律の施行(2024年秋頃予定)など、働き方が多様化しています。
とくに、育児や介護などによるライフステージの変化が起きやすい40代の女性には、「柔軟な働き方」が求められます。
柔軟な働き方の一つとして、在宅ワークがあります。在宅ワークは、家にいながら仕事ができるため、すきま時間を使った働き方が可能です。そのため、育児や介護での突発的なアクシデントにも対応しやすくなります。
40代女性の転職におすすめの仕事


事務系の仕事
事務の仕事には一般事務、営業事務、経理事務などのほかにも、医療事務、秘書も事務に分類されます。事務職は上のグラフからもわかるように、求人数に対して求職者数の多い職種です。
そのため、20〜30代の応募も多く、好待遇な求人では経験やスキルが求められることもあります。
一般事務の業務内容は、WordやExcelを使った書類の作成、処理、ファイリング、データ入力、電話・メール応対などです。インターネットを使用する業務が多く、コロナ禍をきっかけに「在宅ワーク」が普及しています。
副業としても始めやすいオンライン秘書とは?
インターネットを使った幅広い事務作業を請け負う「オンライン秘書」は副業として始める人も多い仕事です。
事業主や会社の社長・役員などから依頼された書類の作成や、データ入力、リサーチ業務、飛行機や会食の店の手配など。業務内容は多岐にわたります。
オンライン秘書を始めるには、
- オンライン秘書サービスの会社に登録して仕事を受ける方法
- クラウドソーシングサイトから仕事を探す方法
があります。
オンライン秘書サービスの会社で有名なオンラインアシスタントフジ子さん



オンライン秘書は、基礎的なITスキルやコミュニケーション力があれば、未経験からでも挑戦しやすい在宅ワークの一つです。
エンジニア
エンジニアにはさまざまな職種がありますが、その中で需要が高いのがシステムエンジニアです。システムエンジニアの仕事は、システム設計や開発など多岐にわたります。
AIなどのデジタル技術の急速な発展に伴い、必要とされるスキルや知識も幅広くなっています。
エンジニアは、転職市場での需要が高く、高収入も期待できる職種です。しかし、専門性の高い分野であるため40歳・未経験から転職をするには長い学習期間が必要です。
ですが、在宅ワークがしやすく、一定以上のスキルが身につくとキャリアアップも実現しやすくなります。
女性エンジニアのキャリアインタビューはこちら


未経験からエンジニアを目指す具体的なステップはこちらで解説!


営業職
営業職も40歳からの転職でおすすめの職種です。営業職は、若い人は好まない傾向が強く、即戦力となる人材が求められています。
長年の社会人経験やコミュニケーション力が活かせる職種で、未経験からでも挑戦しやすいでしょう。
最近ではWeb営業の求人も多くなっています。従来の訪問営業とは異なり、メールやSNS、オンライン会議システムなどで営業活動をします。



Webを活用して行われる営業は、働く時間の融通がききやすく、40代女性にとって働きやすい環境であることが多いです。
まとめ


40代の転職は、20代〜30代前半の人の転職と比較すると、求人数も少なく即戦力が求められることから、転職するまでに時間がかかる傾向があります。
しかし、少子高齢化が進む日本では、人手不足により年齢によるデメリットは少なくなってきています。
また、働き方が多様化している現代では、正社員や契約社員、アルバイトという働き方だけではなく、副業・兼業、フリーランスといった働き方も定着。
40代の女性が、育児や介護と仕事が両立しやすい柔軟な働き方の一つとして、「在宅ワーク」が政府によって推進されています。
在宅ワークが推進される理由として、
- すきま時間を使って仕事ができること
- 通勤時間がかからないこと
- 突発的な出来事にも対応しやすいこと
があげられます。
働き方が多様化する中、転職をして正社員になるという働き方だけではなく、フリーランスや事業主、副業・兼業など、環境や目的に応じた働き方が選択できます。
さまざまな働き方を知ったうえで、5年後・10年後を見据えたキャリアプランを考えてみましょう。
40代の女性におすすめの在宅ワークを紹介

