AIの進化や社会のデジタル化は、5年後のわたしたちの生活スタイルをまったく新しいものへと変える可能性があるかもしれません。
最近では、AIを業務に取り入れることも多く、AIに触れる機会が増えたと感じている人も多いのではないでしょうか?
この記事では、AI時代を生き抜くためのリスキリング・アップスキルについてくわしく解説します。
そもそも「リスキリング」とは?その背景や個人でリスキリング・アップスキルをするメリットを紹介します。
- リスキリングとは?アップスキルとは
- リスキリングが注目される背景
- リスキリングをするメリット
- AI時代に求められるスキル
リスキリングとは

リスキリングとは、デジタル化した業務で必要とされる新たなスキルを習得し、身につけたスキルを活かして新たな分野で働くことです。
そもそもリスキリングは、企業が自社の社員に、業務の一環として仕事で必要な新たなスキルを学ぶ機会を提供するものでした。
ところが、中小企業が多い日本では、リスキリング制度を導入している企業が少ないのが現状で、スキル習得をしたい人が個人でリスキリングをするケースが増えています。
- AI関連のスキル
- プログラミング
- Webマーケティング
- データサイエンス
- Webデザイン
といった分野のスキルが求められています。
リスキリングとアップスキル
2025年の世界経済フォーラム「2025年雇用の未来レポート」によると、AIによる破壊的なイノベーションが予想される中、2030年までの間に、人材戦略としてリスキリング(再教育)とアップスキル(スキル向上)が期待されると予想されています。
リスキリングは仕事で必要な新しいスキルを習得することを指すのに対し、アップスキルは既存のスキルを広げて向上させることです。
日本だけではなく、世界的に見てもAIと連携して働ける人材は不足している状況で、スキルギャップを埋めることがこれからの課題となっています。
リスキリングはなぜ注目されている?
リスキリングが注目されている背景には、次のような理由があります。
企業がIT人材をもとめている
企業では、商品やサービスを顧客に届ける業務プロセスが変化し、専門的なITスキルを必要とする業務が増えています。ところが、少子高齢化によりエンジニアのようなITスキルのある人材は少なく、デジタル化に対応できる人材を求めています。
経済産業省の「IT人材需給に関する調査」では、2030年には最大で約79万人の人材不足が予想されています。
世界的な流れ
リスキリングは、2020年に世界経済フォーラムで「2025年までに8,500万人の仕事がAIやロボットに置き換わる一方、デジタル化によって9,700万人分の新しい仕事が生まれる」というレポートが発表されたことから注目されるようになりました。
デジタル化により衰退が予想される分野から成長産業へ。
人材をシフトすることが、雇用を守り、企業の発展につながります。そのことから、企業によっては自社の社員に必要なスキルを学び、リスキリングができる環境を整えています。
日本政府も学び直しを推進している
日本では、労働人口の減少や地方と都市のデジタル格差、デジタル人材不足の問題を解決するためにリスキリングを推進しています。
政府は、2022年6月リスキリングの推進を目的とした国や自治体、民間企業が参加する団体「日本リスキリングコンソーシアム」を設立しました。
日本リスキリングコンソーシアムは、リスキリングするためのトレーニングプログラムを提供しています。

2024年4月時点で1,400以上のデジタルスキルを中心とした教育プログラムが提供されています。
日本リスキリングコンソーシアムはGoogle日本法人が主となって、複数の企業や組織がパートナーとして参加しています。また、Googleが提供しているオンライン講座Grow with Googleでは、ITスキルの基礎が無料で学べる講座が多数あります。
リスキリングを個人でするメリット


オンライン講座の受講や独学によって、リスキリングを個人でするメリットは次の通りです。
転職市場での価値が上がる
リスキリング・アップスキルをすることによる一番のメリットは、転職市場での価値が上がることです。
需要のある新しいスキルを身につけることで、希望する業界への転職がしやすくなったり、年収がアップしたりする可能性が高くなります。
今後、さらにIT分野での専門的な知識がある人材は求められるでしょう。AI時代に必要なスキルセットを持つことは、転職市場での価値を上げることにつながります。
副業がはじめられる
身につけたスキルを活かして副業を始めることも可能です。
副業とは、本業以外の仕事から収入を得ることです。働き方改革によって政府が副業を推進していることから、副業を始める人も増えています。
副業は、新しく身につけたスキルを実践する機会にもなります。副業を通じて、スキルを活かしたキャリア形成や自己実現につなげることも可能です。実際に、副業から本業へとキャリアをシフトしていく人も少なくありません。
働き方の選択肢が増えることもリスキリングのメリットです。
在宅ワークがしやすい
子育て中や介護によって時間が制約されると、働きに出ることが難しいこともあります。
このようなケースであっても、ITスキルを身につけておくと在宅ワークという選択が可能です。おすすめの在宅ワークには、エンジニア、Webデザイン、オンライン秘書やWebライターなどがあります。
目的に合った専門的なスキルを身につけることで、在宅ワークの可能性がさらに広がります。


AI時代に求められるスキル


企業が求めているIT分野でのスキルには次のようなスキルがあります。
プログラミング
企業ではAIなどを使ったデジタル技術の急速な進歩によって、より専門的なITスキルが求められるようになっています。
AIを活用した業務の効率化や、新しいシステムの開発ができるといった知識のある人材は、多くの企業にとって魅力的です。
プログラミング言語の習得から、さらに学習を進めることで需要の高い専門スキル「AI関連スキル」も身につけられます。
参考:40代女性が未経験からエンジニアになるには?具体的なステップをわかりやすく解説!


WEBマーケティング
AIなどの技術が進化することにより、企業のビジネススタイルも変化しています。
最近では、企業はインターネットを使った情報発信による顧客獲得や、ビッグデータからのマーケティング調査が売上拡大に欠かせなくなっています。
営業スタイルをWebを活用した営業にシフトする企業が増えたことで、データをもとにしたオンライン集客などのWebマーケティングができる人材が求められているのです。
データサイエンス
データサイエンスとは、統計学やアルゴリズムなどを使い、膨大なデータから課題解決につながる情報を導き出す学問です。



世界経済フォーラムの「仕事の未来調査」によると、分析的思考は雇用主にとってトップのコアスキルと考えられています。
データサイエンスでは、マーケティングや統計学、プログラミングの領域を組み合わせてデータを分析。
根拠に基づいたデータ分析ができるスキルは、ビジネスの意思決定や売上拡大につながる重要なスキルとして、マーケティングと同様に需要があります。
参考:【体験談】データサイエンスに必要な統計学を学ぶ!「社会人のためのデータサイエンス入門」


マネジメントスキル
マネジメントスキルとは目標を達成するためにヒト・モノ・カネ、を管理するスキルのことです。
マネジメントスキルは、計画の立案・目標設定、リーダーシップやコーチング、コミュニケーション、課題解決能力、現状認識力、分析力など多岐にわたります。
リーダーとしてチームをまとめる重要な役割を担うことができます。
AI・機械学習
リスキリングで注目されている分野にAI、機械学習があります。
AI・機械学習とは、ChatGPTなどのAIを使った業務の効率化やプログラミング、セキュリティなどのスキルです。業務がAIに変わる分野では、AIを活用できるスキルがとても重要になってきます。
AIを活用したプログラミングスキルやデータ分析ができる「AI関連スキル」は今後ますます求められるでしょう。
参考:生成AIとは?リスキリングでAIを学ぶメリットと企業での活用事例


政府のリスキリング支援事業
政府は、人への投資として「5年間で1兆円」を個人のリスキリングに支援するということを発表し、政府によるリスキリングの支援事業が実施されています。主な支援は次の通りです。
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業
「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」とは、経済産業省が支援する事業で、参加している事業者から、キャリアプランの相談・リスキリング・転職までのサービスを一体化して受けられます。
キャリアの相談や転職支援は無料、リスキリングの受講費用は、要件を満たした場合は負担が軽減されます。
- リスキリング講座の受講を修了した場合は、講座受講費用(税別)の1/2相当額、上限40万円
- 転職が実現し、1年間継続した就業が認められると、さらに受講費用(税別)の1/5相当額、上限16万円
が軽減されます。
教育訓練給付制度
「教育訓練給付制度」とは厚生労働省が実施している制度で、働く人の主体的なキャリアプランを支援しています。雇用の安定を促す取り組みとして、教育訓練を修了した場合、受講料の一部が支給されます。
参考:リスキリング転職で活用したい最大64万円の補助金・給付金


まとめ
AIの進化により、専門的なスキルをもつ人材育成は急務となっています。
ビジネススタイルの変化に適応するためには、リスキリング・アップスキリングが世界的に重要視されています。
AIはこれまでの仕事を変化させ、失くなる仕事ができると言われる一方で、AIによって新たに生み出される仕事もあります。
この変化に対応できる人材になるためには、自分自身でスキルを習得していくしかありません。
会社によるリスキリングや、個人でリスキリングすることによって、市場価値が高い人材となり、キャリアアップ転職も可能になります。
AIによる時代の変化は、新しい分野に挑戦しキャリアアップをするチャンスともなり得る、と思いませんか?
参考:AIに仕事を奪われる?これからも「残る仕事」と40代からのリスキリング

